医療生協さいたま生活協同組合の事業概要及び小林さんの担当業務について教えてください。

小林曜子さん(以下、小林): 医療生協さいたまは、埼玉県内で医療・介護の事業を行っている生活協同組合です。私は秩父生協病院で19年間勤めた後、2020年の4月に所沢診療所に異動してきました。現在は事務長として、診療所全体の管理や運営を担当しています。その一環として、Webサイトの管理も行っています。

Webサイトにおいてもともと抱えていた課題、コンペ実施に至る経緯を教えてください。

小林:訪れる人に「いいな」と思ってもらえるようなサイトにしたいと思っていました。特に医療生協さいたまの取り組みや理念がもっと伝わりやすくしたいなと。また、デザインに関しても、前時代的かつスマートフォン・タブレットに未対応だったので、改善が急務だと感じていました。さらに、採用を強化するにあたって、職場をイメージしたり、働く人の様子が見えないというのもネックでした。

小林:Web制作会社を選ぶコンペの経験はなかったので、浅見さんに相談しながら進めました。

実は、浅見さんとは秩父生協病院にいた頃から面識があったんです。もともと私は、「ちちぶる」(浅見が個人で運営していた秩父のローカルWebメディア)のファンで、よくサイトを覗いていたんです。その後、娘が高校受験するタイミングで秩父高校のサイトを見ていたら、それがちちぶるの人が作っていることを知って。ちょうど秩父生協病院のサイトを作ろうというタイミングだったこともあり、浅見さんに依頼しました。

その後も浅見さんには他の事業所のパンフレットや記念誌、動画などを作っていただいたので、医療生協への理解が深かったんですね。そういった背景もあり、コンペ前からいろいろと手伝っていただきました。

コンペの候補となる制作会社を選ぶ際の基準は何でしたか?

小林:5つの事業所のWebサイトを同時にリニューアルするプロジェクトだったので、浅見さん含めこれまで制作いただいたことのある会社や、医療機関のサイト制作実績のある会社などに声をかけさせていただきました。

最終的に浅見制作所に決めた理由を教えてください。

小林:選定にあたっては、採点表を用いてみんなで評価しました。採点項目は、「リニューアルコンセプト」「ターゲット設計とアプローチ」「提案業者の制作実績」「導入を想定しているCMSと解説」「提案者が本業務において発揮できる強み」「体制表」「スケジュール」「見積書」の8つです。

「リニューアルコンセプト」に関する提案(提案書より一部抜粋)

小林:最終的に、医療生協への理解度からくるデザインのあたたかみやコンセプトがよかったことと、「担当者=制作者」なので、コミュニケーションがとりやすく、提案の柔軟性も感じたので、浅見さんにお願いすることにしました。

浅見: 確かに医療生協は馴染みがないとわかりづらい体制の組織ですよね。協同組合ということで、組合員さんたちは出資をしているわけですから、「みんなの病院」のような感覚があります。そこをコンセプトに落とし込むのがすごく重要だなと考えていました。

採点表を踏まえたプレゼン結果報告書

5サイトを一気にリニューアルするにあたり、どのように進めていきましたか?

浅見:まず、メインとなるサイトを1つ決めて、その構成やデザインを決定しました。メインとしたのは、一番大きい事業所である「埼玉西協同病院」です。それを5事業所の事務長に見てもらい、OKが出たものをフォーマットとして、他の事業所に展開することにしました。

フォーマットを決めることで、例えば健康診断の申し込み方法など、これまで事業所ごとにバラバラだった項目が統一されたのは良かったのではないかと思います。

小林:そうですね。各事務所で、健康診断の申し込みがスムーズになりました。今までFAXや電話のみだったところがフォームで申し込みができるようになったんです。また、アプリやシステムを新たに導入せずに、サイト内にフォームを設置できたのは良かったです。

多くのお金をかけずに、必要な機能を実装できたのは、リニューアル中の大きな成果だったと思います。

他に特に良かった改善点はありますか?

小林:自分たちでページを更新することができるようになったことです。以前は、更新したい場合、業者さんに頼んで、メールのやり取りをして、テスト環境で確認して更新するという流れでした。それだけで何日もかかってしまって…。しかし、今回はWordPressを使って、自分たちで更新できるようになりました。最初は操作に慣れるのに時間がかかりましたが、今ではみんな気軽に触れるようになったので、更新頻度が上がりました。

また、私にとっては採用ページの改善が大きなポイントでした。職員の姿が見える魅力的な採用ページになり、エントリー数も増えました。「インタビューページの職員の言葉を見て応募しました」という人もいて、嬉しかったですね。

浅見: 採用ページを作るにあたっては、2つのポイントを意識しました。一つは、小林さんが言ったように、働いている人の顔が見えることをとにかく大事にすること。顔が見えるというのは、単に写真だけでなく、一人ひとりのインタビューを掲載するということです。

ただ、これをやるのはすごく大変なんですよね。インタビューに協力してくれる人を集めるとなると、普段の業務と並行してやるのでかなり負担が大きい。だから正直インタビューページを作らないという選択肢もあったんですが、小林さんはじめ、各事業所の担当の方々が「頑張ってみます」と言ってくださったので、作ることにしました。その覚悟があったからこそ、素晴らしいコンテンツになったなと思います。

もう一つは、募集職種を皆さんの方で更新できるようにしたことです。採用状況は常に変化するので、もし募集をストップしたかったり、新たな募集をかけたかったりする際は、スピーディーに、リアルタイムで対応できるようにしました。

小林: 採用ページを魅力的にしたいというのはみんなの共通の願いだったので、そのための労力は惜しまなかったですね。

リニューアルを進める中で改めて感じた浅見制作所の強みはどういった点ですか?

小林: もちろん生活協同組合への理解も大きいですが、それだけじゃないんです。私、浅見さんの写真のファンなんですよ。素敵だけど、過度ではない、ちょうどいい感じ。浅見さんの写真は、本当に人が素敵に見えるんです。

それに、打ち合わせがすごくやりやすいんです。私たちが何を言いたいのか、ちゃんと理解して、整理してくれて、わかりやすく回答してくれます。考えがまとまってない段階で言っていいのかな? と思うようなことでも、浅見さんなら「こういうことですね」と理解してくれます。それがいいんですよね。浅見さんの人柄も安心感がありますし、だからここまでずっと繋がってきたんだと思います。

最後に、今後の展望について教えてください。

小林: 医療生協は地域にとって欠かせない組織なので、もっと多くの人に知ってもらい、活用してもらいたいと願っています。ただ、多くの人が生協自体は知っていても、医療生協の存在はまだまだ知られていないんですね。地域の人々に私たちのような資源があることを知ってもらい、積極的に利用してもらいたいと思っています。

また、医療業界はIT化など遅れている部分があるので、そこを改善して、もっと進化させたいと思っています。

浅見: 医療生協さいたまは、クリエイティブな面で伸びしろがありました。Webサイトをきれいにしたり、写真を新しくしたりするだけで、健康診断の申し込みや採用の応募が増えたということは、まだまだクリエイティブに改善の余地があったということです。

これからもクリエイティブの力で魅力を引き出し、伝えていきたいなと思います。と言っても、魅力は盛るのではなく、等身大を伝えることが大事です。そうすればギャップが生まれないので、信頼につながります。

小林: ギャップがあると問題ですよね。特に採用の場合、ギャップがあると不信感を抱かれるだけですから。そういう意味では、リアルな姿を伝えることが重要なんだなと。

利用者のみなさんにもっと親近感を持ってもらう存在になるよう、Webサイトなどのツールを使って発信していきたいので、これからも浅見さんには、いろいろお手伝いいただけると嬉しいです。