昨日、アパレルECのZOZOTOWNが、送料について新しい取り組みを始めました。
それが、「送料自由」。
ユーザーは、商品を購入したら、0円でも500円でも1,000円でも、好きな金額の送料を設定できる仕組みです。
僕はこの発表をみたとき、「これはすごい…」とシビれました!いやあ、時代が動き始めていますね!
今日はそんな話です。
支払うことをユーザーに委ねたお金には「感謝」や「応援」が乗りやすい
なぜ、僕が「送料自由」についてそこまで感動をしたか。それは、支払うことをユーザーに委ねたお金には「感謝」や「応援」が乗りやすい仕組みだからです。
実際、ZOZOを運営しているスタートトゥデイ前澤社長も、「送料自由で気持ちの交換が生まれれば素敵だなと思います」とつぶやいています。
【送料自由】本日よりZOZOTOWNの送料は、お客様のお気持ちやご都合で自由に決めていただけるようになりました。0円でも500円でもお客様の自由です。自由に価格を決めていただくことで、運ぶ人と受け取る人との間に、気持ちの交換が生まれれば素敵だなと思います。よろしくお願いします。
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 2017年10月1日
そう、この「送料自由」のすごいところは、100円でも1,000円でもユーザーが決めた金額には「いつも届けてくれてありがとう」という感謝が込められるんです。
これが仮に、あらかじめ「送料は500円です」と決まっていたらどうでしょう。そこには、500円を支払う義務みたいなものが生まれて、「感謝」の気持ちをもったり、伝えたりすることはなかなかありません。
電車人乗るのも、コンビニでおにぎりを買うのも、値段が決まっているから「乗れて当然」「食べられて当然」という感覚になるわけです。
でも、値段が決まっておらず、自分が感んじた価値に対して対価を自分で支払う時には、必ずその対価の「理由」を見いだすことができるんです。
「とても楽しい体験をさせてもらって、これだったら、いくらくらいの価値があるし、今後も頑張ってっ欲しいからさらにこれくらいの金額を支払いたい」と自分で意志を持って値段を決める。
最初から決まっている値段の枠にとらわれていては、こんな思考はありません。
この思考をするからこそ「感謝」や「応援」が生まれ、それがお金によって表現されるんだと思います。
お金に血を通わせるという時代の流れ
この、お金に「感謝」や「応援」を乗せるという仕組みは、時代の流れでもあるな、と思っています。
最近では、クラウドファンディング、polca、valuなど、「感謝」や「応援」ありきでお金を支払うサービスがどんどん増えています。
モノやサービスの提供側から一方的に金額を決めるのではなく、自ら支払う意図を見出しお金をだす。
支払う意図を見出されたお金には「感謝」や「応援」の意図が込められていることが多く、これを僕は「お金に血を通わせること」と思っています。
昔は、物々交換のように「価値の等価交換」が当然のように行われていました。相手と自分で価値のバランスが取れているか、ちゃんと自分でその価値を見出して取引をしていたんです。でも、いつからか貨幣が力を持ち、「価値ありきの対価」ではなく「対価ありきの価値」となってしまいました。
「これは高価だから価値がある」「高いものは優れている」という、対価から逆算する価値基準が現代人の感覚になっています。
でも、モノづくりもサービス提供も、本来は価値を感じて相応な対価を払うものです。その対価を考えるプロセスの中に「感謝」や「応援」があると思っています。
このように、お金に血を通わせることにより、「感謝」や「応援」も金額に反映できるし、それを表現することもできる。
自らの意志を持って支払うお金には「血が通う」。薄っぺらい紙幣でも、冷たい硬貨でも、そこに「感謝」や「応援」を乗せることで、今までになかった新しいコミュニケーションが生まれるんじゃないかなって思います。とっても素敵なことです。
「血が通うお金」の実体験「オンラインフェス」
今年に入って2回ほど開催している「オンラインフェス」でも、この「血の通ったお金」を実感しています。
「オンラインフェス」の参加費は「投げ銭」、参加して楽しんで自分が感じた価値を好きなだけ支払ってもらうシステムです。
最初は、「無料でやったほうがいいか…」「いやいや、入場料500円だけいただくようにしようか…」など、議論を繰り返しました。
その議論のプロセスにおいて、運営メンバーは「お金」についてひたすら考え抜き、最終的にお金は体験を感じた参加者に委ねるという実験に踏み切りました。
結果、100名以上の方が、実に4,000円近い金額を投げ銭してくださったのです。しかも、その投げ銭には「とても貴重な体験ができ、これからもこのような場を作って欲しい」といったコメントともに「感謝」「応援」が込められていたのです。
最初から金額を設定していたらこのような対価を得ることはできませんでしたし、「感謝」「応援」を受け取ることもできなかったかもしれません。
これが「お金に血を通わせる」ということなのだなと、実感した出来事でした。
オンラインフェスのような実験から、血の通うお金を体験してきましたが、時代は間違いなくこの流れになりつつあります。
もちろんメインストリームになるかといえば、そうではないかもしれません。
でも、この「価値ありきの経済」つまり「価値経済」は、将来的に確実に根付く文化だと思います。これからの時代の流れがとても楽しみです!