値段を下げることは価値じゃない。「価格競争」がいかに不毛かを解説

昔、インテリアの商社に勤めている時、得意先(販売代理店)からこんなことをよく言われました。

「御社の競合が、こんな値下げした価格を出してきたよ。御社も値段合わせてよ」

そう言われると、お客様と仕入先という力関係から、泣く泣く価格交渉を受け入れるということが日常茶飯事でした。

いわゆる「価格競争」ってやつですね。当時は、この「価格競争」に違和感を持つことはありませんでしたが、今では、なぜ不毛極まりない価格競争が世の中にこんなに存在しているんだろうwと考えるようになりました。

今でも、様々な業界や常識で「価格競争」がはびこっています。でも、「価格競争」って実はとてつもなく不毛なことで、価値の安売りでしかないんですよね。そんな話です。

 

価値は「品質・サービス・価格」の3つのバランスで決まる

僕の持論なのですが、どんな業種でも物が売れる・サービスがリピートされるには、「品質・サービス・価格」の3つが大事だと思っています。
そして、この3つのうち、2つがそこそこの点数なら、その物は売れるし、リピートに繋がる。つまり価値があると言えます。

飲食店を例にとるとわかりやすいですね。

品質=料理の味・見た目 サービス=接客・店内の雰囲気など 価格=料理の値段
とした時に、このうち2つが満足していれば、その飲食店は成り立つんじゃないだろうか、というものです。(勝手に妄想しているだけなので、実際そんなんじゃないわい!という意見もウェルカム!)

例えば、料理がめちゃくちゃ美味しい(品質=◎)接客や居心地がめちゃくちゃいい!(サービス=◎)価格がめちゃ高い(価格=×)、みたいなケース。
これって、高級レストランとか、ホテルとか、そういうところには当てはまると思うんです。価格は高いけど、それなりにサービスや料理を楽しめる。だから満足度も高い。

逆に、料理がそんなに美味しいわけじゃない(品質=×)だけど接客・居心地最高!(サービス=◎)、価格がすげーやすい(価格=◎)、などのケースもあります。
やたらと景色の良いレストランを格安で使える、みたいな感じですかね。

もしくはこんなケースも。料理がめちゃ美味しい!(品質=◎)だけど店主の頑固親父が超怖いしぶっきらぼう(サービス=×)でも価格が安い(価格=◎)
私語禁止のラーメン屋さんみたいなwこういう場所でも行列が絶えないお店なんて、たくさんありますよね。

例は極端ではありますが、要は3つの要素のバランスを保ち価値を提供することで、店やサービスって成り立っていると思うんです。

 

バランスを取れば、価格が高くたって何にも怖くない

このように、ユーザーの購買意欲はこの3つの要素がいかに満たされるか、だけなので、相手の価格が安いから自分の価格も下げなきゃ、というのは実に短絡的なのです。

トライアスロンみたいなもので、相手はマラソンに力を入れてタイムを縮めてきたけど、水泳と自転車を伸ばせば勝てる!みたいな感じで、必ずしも価格に対して価格で戦う必要なんて全くないと思うんです。

実際、僕の手がけているWeb制作は他のフリーランスの方に比べて、高い方だと思っています。でも、品質・サービスについて、自信を持っているので、その値段をつけているわけです。

仮に、「他にも安くやってくれるところがあるんだよ〜」って言われれても、意味のない値引きはしませんし、むしろ「あ、価格を重視されるのならそちらの方が良いかもしれませんね」とお断りをするくらいです。(実際、他と価格を比べられることはほとんどありませんがw)

 

世間は価格だけが過大評価されていることに気づくべし

でも、どうしても価格が高いことって怖いですよねー、わかります。

「他ではいくらでやってて、自分のところも値段下げておかないとまずいかな…」みたいな、心配の念はぬぐいきれないと思います。

でも、先に述べたように3つの要素は、ちゃんとバランスを保たれている要素であり、それぞれ綺麗に1/3ずつの価値があると思って良いです。

理由は、先ほどの説明の通り、3つのうち2つがそこそこイケてれば、物は売れるし、サービスはリピートされる、ということからです。

つまり、この3要素のパワーバランスは等しい。

ただ、どういうわけか、世の中の人々は「価格」だけは敏感になっているんです。

でもそれって、本当に幻想で、ちゃんとこの3要素を冷静に見極められれば、「価格競争」に踊らされることなんてないんです。

「価格」が高くても、それ相応の「品質」「サービス」を保てているか、に着目すれば大丈夫。ちゃんと売れます。

 

というわけで、世の中には「品質競争」「サービス競争」という言葉が出ることはほとんどなく(実際にはそういう戦いはあると思いますが)、「価格競争」ばかり目立ちます。

ぜひ、「価格」至上主義の幻想から脱却して、しっかり地に足をつけて、自分の価値はなんなのか、に向き合うことをオススメします。

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